和歌山県和歌山市美園町のメンタルクリニックおおや

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おおや通信
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睡眠について9(不眠の分類5)

前記3の内科的/精神科的障害と関連する睡眠障害では、その疾患そのものの治療が睡眠障害の治療になります。内科疾患が睡眠障害を惹起することは以外に多く、内分泌や自律神経が障害される疾患は日内リズムが撹乱され睡眠障害を導くことは容易に想像されます。また、うつ病や神経症でも不眠はほぼ必発と言えそうです。不眠が内科的/精神科的障害を増悪させることがありますから、その場合は睡眠障害の治療を並行して行う方がいいでしょう。

睡眠について8(不眠の分類4)

睡眠は、浅い睡眠、深い睡眠、レム睡眠のセットで成り立っています。このセットが一晩に3〜4回繰り返されます。レム睡眠期では脳は活発に働き夢を見ており、筋肉は弛緩しています。このとき覚醒が中途半端に起こると、夢を見ながら覚醒しており体は動かせない状態となります。これはいわゆる「金縛り」を説明するひとつの理論です。前記2の睡眠随伴症の一例です。

睡眠について7(不眠の分類3)

前記1の睡眠異常には、「眠れないのでは」と過度に不眠を気にするあまり余計に眠れなくなる精神生理性不眠もあれば、ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群も含まれます。治療側からすればこれらの対応はまったく異なります。精神生理性不眠では睡眠薬の不定期的な使用で対応することがありますが、睡眠時無呼吸症候群では睡眠薬によって筋弛緩が起こり余計に無呼吸回数や時間を増やしてしまうこともあります。ナルコレプシーでは日中の覚醒度を上げるため覚醒作用のある薬物を使用することもあります。

睡眠について6(不眠の分類2)

ICSD(睡眠障害の国際分類)によると、睡眠障害の大分類は1.睡眠異常、2.睡眠随伴症、3.内科的/精神科的障害と関連する睡眠障害に分類されます。例えば昼夜逆転は概日リズム性睡眠障害で1に、悪夢は2に、うつ病による不眠や過眠は3に含まれます。

睡眠について5(不眠の分類1)

不眠をどのように分類するかは諸説があります。ある睡眠学の専門書によると84種類に分類されます。これでは専門的で細かすぎ、決して臨床的意義が高いとは言えません。DSMでは13に分類されます。ただしこれではかなりはっきりした不眠状態までは診断閾値に達しません。管理人の経験では、神経症やうつ状態、アルコールによるものが多いとの実感です。人間は高齢になればなるほど生理的に睡眠時間が短くなる生物です。生理的な睡眠短縮か、病理的な睡眠短縮や質の低下(不眠症)かは、判別が困難なことがあります。

睡眠について5

人は何故眠るのか、眠らないといけないのか? ひとことで表現はできませんが、断眠テストからは色々なデータが得られています。動物では脳細胞(特に大脳皮質)が死滅し、人ではイライラしたり記憶力が落ちたりします。記憶力は不眠で悪くなるのですが、心地良い記憶より嫌な記憶のほうが相対的には残存するそうです。疲労回復、頭すっきりのために睡眠は必要なようです。

睡眠について4

概日リズム障害(CRSD)だけでは睡眠自体は十分に摂れていることになります。ただし社会生活とは位相がずれているので、出勤できない・登校できない、生活で必要なことをしようとしても相手は眠っている等の問題が生じます。CRSDは睡眠障害ですが不眠症とは言えません。睡眠の質や量の低下が問題になるのが不眠症です。それでは不眠症での具体的な問題は何でしょうか?睡眠の意味・意義について考察する必要があります。「睡眠不足だとどんな不都合が生じるのか?」とお考え下さい。

睡眠について3

「早や寝早や起き」が死語になったような現代社会です。睡眠を削ってまでの残業や受験勉強、夜勤勤務、深夜営業のコンビニやレストラン、休日は起床時刻が遅くなること。まるで‘夜間に睡眠を摂るな’と言っているようです。偶々の夜更しではなく、夜更しが固定してしまうと概日リズムが社会とずれたまま固定してしまいます。これを元に戻すことは大変です。時差ぼけ(ジェット・ラグ)は一過性の乱れです(それでも回復に数日を要します)が、習慣的な夜更しはなかなか回復しないようです。

睡眠について2

「朝に起き、夜に眠る」。当たり前のことですが、睡眠覚醒のリズムだけではなく、体温や血圧、ホルモン分泌なども一日の中でリズムを持っています。これを約一日という意味で概日リズムと言います。海外旅行での時差ボケは私たちには概日リズムがあるからです。脳の視交叉上核にその概日リズムを司る「体内時計」があると言われています。睡眠障害の一部は概日リズムの乱れで説明出来ます。朝日を浴びることは体内時計を朝にリセットする方法です。現代は、朝にきちんと目覚めるという当たり前のことが出来にくい時代です。

睡眠について1

「動物はなぜ眠るのか?」。睡眠を摂ることは当然のことなのですが、このように改めて問われると答えることに困窮します。睡眠不足の翌日は、頭や体の働きが悪くなったように感じることから、睡眠によって生活の質が向上することが解ります。それでは「一日中眠っていればいいのか?」と問われると何もしない人生になってしまいます。つまり「適切に眠る」ことが大切ですね。眠れないことも眠りすぎることも、眠る時間帯も問題となります。