- 2007年9月1日
- うつ
うつ状態、うつ病について16(診断1)
うつ病に限らず、精神医学的診断基準が曖昧であることは認めざるをえません。DSM(アメリカ精神医学会)やICD(世界保健機関)の診断基準の存在は、曖昧さの克服の点では有益です。しかしそれは専門家にとってほど一般には有益ではありません。診断基準を理解し使いこなすことは一般の方には無理であるし、そもそも不必要だからです。そこで自己診断のチェックシート等が登場しインターネット等で公開されていますが、「そこで陽性だから自分はうつ病だ」とはいきません。擬陽性の問題や他の疾患との共存や合併を伴う等の問題が生じます。さらに、うつ病以上に、発達障害や人格障害、ストレス性障害や社会不安性障害等では益々曖昧になります。疾患概念自体が現時点では流動的であるし、障害の程度を判断する際に社会的な観点を要するからです。