下記の治療では、太陽光と同等度の光を照射できるパネルが治療室に設置されており、ある時間が来るとその治療室で眠っている患者さんに光を照射し、照射する時刻を徐々に早めていくという方法をとっていました。このような設備はなかなかありません。通常は光療法用のライトを用います。
厚生労働省の診断基準では,慢性的な強い疲労を主(大症状)とする病態で,臓器疾患や膠原病等,精神疾患を除外したものになっています。リンパ節の腫脹や微熱,筋肉痛や関節痛が小症状に含まれます。実は診断基準をみてもよく解らない疾患であるとの印象です。問題点はいくつかありますが,ひとつは疲労(客観的指標)や疲労感(主観的評価)が定義されていません。また,何らかのウィルスや細菌の感染が免疫機能を中心にして機能障害をもたらすことのようですが,原因病原体が特定されると○○感染後遺症となってしまいます。さらに最近ではストレス原因説も出て混乱しているようです。ただし,臨床では強い疲労感のみを訴え,大変風邪をひきやすい方やアレルギー疾患をお持ちの方をたくさん診察します。この疾患概念の有用性はまだ未知数ではないでしょうか?
労働に関する法律は労働三法をはじめとして少なくとも50はあります。その中で労働者の健康に関する法律でもっとも重要なものとしては労働安全衛生法が挙げられます。元々は危険を伴う職務に対する雇用者(会社)側の被雇用者への安全配慮が中心でしたが,「過労死」という概念が徐々に広まり,脳・心臓疾患や精神疾患に対する配慮義務も謳われています。今までにも過労死や過労による障害の労災認定や裁判例はありましたが,2002年以降特に過重労働による労災の認定や裁判での過重労働と死亡や障害との因果関係を認める判決が続出しています。同法では,一定規模以上の事業所に産業医を配置する義務,一定時間以上の残業をする被雇用者に産業医の診察を受けさせる義務等が明記されています。A氏は産業医という言葉を知らなかったようです。